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2009年 06月 19日
写真撮影と天候(2):曇天
一言で「曇り」といっても、晴れに近い薄曇りから降雨直前の暗い曇り空まで幅広いので、案外定義が難しい。
(このコラムのために写真を選択する際に、本当にそう思った)
ひとまず、地面にはっきりした影を投影せず、雨も降っていない状況 と定義してみる。
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   第90回全国高等学校野球選手権記念京都大会 洛星vs農芸 2008.7.6撮影 (EOS 1D MarkIII + EF300mm F2.8L IS USM)

曇りの程度にもよるが、ピントの合い方はまず問題がない。
シャッタースピードは晴天ほど稼げないが、目安として1/800秒~1/1000秒を確保できるようにISO感度・絞り値を調整すればよい。
(スポーツの撮影であり、望遠レンズ域でのブレ対応を考慮すると、遅くても1/500秒は確保したい)
フェンスが写真に与える悪影響が少ないのは、晴天と比べるとアドバンテージになる。
よって、撮影条件としては悪くない。
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   平成19年度秋季京都府大会 乙訓vs伏見工 2007.9.23撮影 (EOS 1D MarkIII + EF300mm F2.8L IS USM)

ただ、光は直射光ではないから、どうしても立体性は乏しくなる。
なので曇り空の下で撮影した写真は、あまり特徴のない、ドラマチックさに欠ける写真だと思っていた。

また画面全体の印象も、曇り空をそのまま反映して薄暗かったり、色味もボンヤリした感じになってしまい、キレが悪い印象になりがちだと思う。
(晴天時の撮影ではあまり必要がない)画像処理ソフトのレベル補正機能を用いて画を整えたいことが多い。
でもそんなマイナス要素も、見方を変えれば、被写体に対する影の出方が弱いので、選手の表情が撮りやすいメリットだと思えるようになった。
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   第90回全国高等学校野球選手権記念京都大会 嵯峨野vs洛東 2008.7.6撮影 (EOS 1D MarkIII + EF300mm F2.8L IS USM)

この気付きは、カメラ・レンズを変えたことで得られた気がしている。
1DMarkIIIは30Dと比較してラチチュードが広く、露出補正の効果もよく、暗くなりがちで黒つぶれしかねなかった選手の表情が撮影しやすくなったように感じる。
ただ野球選手を撮るのではなく、できることなら選手の表情をきちんと写真に残したい と考えるようになってきたこともあり、
曇り空の特性をメリットとして受け止めるように、私の意識が変わってきた。
晴天と同じくらいに曇り空を好むようになった大きな理由はここにある。
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   平成20年度秋季京都府大会 京都両洋vs京都学園 2008.9.20撮影 (EOS 1D MarkIII + EF300mm F2.8L IS USM)

また、光と影、あるいは雨といった演出的要素から縁遠く、被写体そのものを忠実に写し取るのが曇り空である。
つまり、写真のごまかしが効かないのだ。
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   平成20年度春季近畿大会 智辯和歌山vs龍谷大平安 2008.5.25撮影 (EOS 1D MarkIII + EF300mm F2.8L IS USM)

正直なところ、今回の写真選択は非常に難しかった。
実例として挙げる写真に華々しい演出的な要素がないため、他の天候で挙げる写真と同列で比較したときに、どこか見劣りしてしまうためだ。
それが被写体を忠実に写し取った実態だと思っていただけたら、この記事の趣旨としては正しいのかもしれない。
曇天下の撮影でも、いい写真だと思ってもらえる写真を撮れるようにスキルアップしたいと思う。
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   第90回全国高等学校野球選手権記念京都大会 北稜vs久御山 2008.7.12撮影 (EOS 1D MarkIII + EF300mm F2.8L IS USM)

暑さ対策の点でも、曇り空は自分にとってのメリットが大きい。
朝から夕方・夜まで複数試合を撮影するとき、特に真夏の直射光の下では、体調の維持とともに集中力を維持するのが大変なのだ。
軽い熱中症のようになり、撮影中・あるいは帰宅後に体調が悪くなるときがある。
集中力がないときの写真は、歩留まり・内容ともに「今ひとつ…」になりやすいので、夏場は曇り空で撮影できることにありがたみを感じる。
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   第90回全国高等学校野球選手権記念京都大会 北稜vs久御山 2008.7.12撮影 (EOS 1D MarkIII + EF300mm F2.8L IS USM)

by photomoments | 2009-06-19 10:44 | 野球写真撮影 | Comments(6)
Commented by MA at 2009-06-19 22:58 x
本当に選手の表情がはっきり写っていますね。
一生懸命さが伝わってきます。

北稜高校の選手たちの喜びが伝わってきます。 校歌を歌ったあとスタンドに向かう選手たちの表情が大好きです。

雑誌に載せてもらった姫と息子の写真、曇り空なら目元がつばの陰に隠れることなくしっかり映ってたんでしょうね。  でも、プロのくせに・・・としっかり愚痴りましたがね。
Commented by photomoments at 2009-06-20 00:52
MAさん、こんばんは。コメントありがとうございます。

この一連の記事を思いついたのは、それぞれの天候において、狙ってみたい写真の撮り方・傾向があると思ったからです。
選手の表情のとらえやすさが曇り空のメリットだと思えば、そして実際に日影に遮られることなくいい表情を撮影できれば、
曇り空も大歓迎です。

MAさんJr.くんと姫との関西ウォーカー(でしたっけ?)でのカラー記事、本屋さんで拝見しましたよ。
大きな写真で1ページまるまる使っていたのに、確かにもったいなかったですね…。
あの写真、レフ板を使うなり、ストロボを使って日中シンクロ撮影するなりしていれば、
二人の顔の表情まできちんと撮影できたのではないか?と思いました。
Commented at 2009-06-21 19:23 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2009-06-21 19:26 x
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Commented at 2009-06-21 19:32 x
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Commented by photomoments at 2009-06-21 21:51
鍵コメさん、コメントありがとうございます&ご無沙汰しております。
これからも無理ない程度に続けていきたいと思いますので、ときどきお立ち寄りください。

コメントで触れていただいた写真は、一昨年夏の写真を昨年アップしたものだと思います。
また夏の大会が始まるまでに、昨年夏の大会で撮影した写真をアップしていきたいと思います。
1年遅れですが、あの夏の感動を思い出す という意味も込めまして…。

これからもよろしくお願いします!
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