2009年 06月 22日
言うまでもなく、つらい撮影条件だ。自分にも、機材にも。 雨の程度によるが、いくら機材が防塵防滴でも雨に濡らすのは気が引けるし、自分や荷物が濡れると気分が萎える。 (試合している選手はずぶ濡れなのだから、そんなこと言ってはいけないが…) もちろん荷物には大きなビニール袋をかぶせて雨に備える。 一脚にレインブラケットを取り付けて、そこに傘を固定して撮影するから、機材も「ずぶ濡れ」になるわけではないが、やはり気は重くなる。 第89回全国高等学校野球選手権京都大会 西舞鶴vs嵯峨野 2007.7.16撮影 (EOS 30D + EF300mm F4L IS USM) 誰かから頼まれたわけでも報酬を得ているわけでもないし、自分の子供が出るわけでもないのに、 なぜ雨の中で撮影しなきゃならないのか?なんてマイナス思考になりかねない。 だから何より、自分のモチベーションの維持を第一にしないと雨の中では撮影できない。 そのモチベーションも、初めのうちは、自分が撮らなきゃ誰が撮るのか?といった「変な」使命感で臨んでいたように思う。 それが次第に、雨だからこそ得られる写真を楽しみに撮影するようになってきた。 一昨年夏の太陽が丘(西舞鶴vs嵯峨野戦)でひどい雨に見舞われたとき、定位置の外野から600mmのレンズで撮影していた師匠Mさんに試合後、 「ええなあ、内野からやったら、今日の試合ええ写真が撮れたやろ?」 と言われたことがある。 そんなことを言われても…、突然降り出した雨にバタバタと対応しながら撮影した自分としては、そんなことを考える余裕はなかったのだが、 帰宅して写真を見ると、ぬかるんだグラウンド、芝生に落ちたボールが生む水しぶき、ユニフォームだけでなく顔まで泥をかぶった選手、雨か選手の涙かわからない滴…、 すべてがドラマチックだった。 それらの写真から、Mさんの言葉の意味と、雨中の写真は歩留まりは落ちるものの、上手く決まれば素晴らしい写真が撮れることを理解した。 第89回全国高等学校野球選手権京都大会 西舞鶴vs嵯峨野 2007.7.16撮影 (EOS 30D + EF300mm F4L IS USM) その発見以来、雨の時でも気持ちを切らすことなく撮影に臨めるようになった。 それから4日後、西京極球場での乙訓vs福知山成美戦は、雨天&ナイターという「二重苦」での撮影となった。 正直なところ、画質は粗く、写真の精度はよくなかった。 カメラの液晶画面でそれを確認しながらの撮影は、出来栄えの悪さにストレスを覚えながらの撮影となるため、集中力に欠けるなどの悪循環に陥りかねないのだが、 スリリングな試合展開にドキドキしながら、気持ち・集中力を切らすことなく撮影できた試合で、 激闘を制した乙訓 植野投手と菅野選手が拳を合わせて称え合うシーンや校歌斉唱のシーンなど、いまだに印象深い試合だ。 第89回全国高等学校野球選手権京都大会 乙訓vs福知山成美 2007.7.20撮影 (EOS 30D + EF300mm F4L IS USM) 雨の時は光量が少ないから、当然ながらシャッタースピードが出ない。 1/500秒程度のシャッタースピードを確保できず、被写体ブレを起こす写真がどうしても増えてしまう。 これを逆手に取って、ISO感度を下げ、絞りをF8~F10程度に落とし、ワンショットを大切にする意識で、敢えて1/100を切るくらいのシャッタースピードにしてみるのも悪くない。 (シャッタースピード:1枚目の写真は1/25秒、2・3枚目は1/50秒) 平成20年度秋季近畿大会 金光大阪vs大阪桐蔭 2008.10.26撮影 (EOS 1D MarkIII + EF300mm F2.8L IS USM) 昨年夏にも太陽が丘では通り雨に見舞われ、雨中の撮影を強いられたのだが、自分にとって大変に印象的な写真(昨年のベストショットの一つ)を撮ることができた。 今年も夏の予選も近づいてきた。きっと今年もまた一度は雨に降られるだろう。 そしてきっとまた、雨の中で必死に戦う球児の印象的な姿を撮影できそうな予感も抱いている。 平成20年度秋季近畿大会 金光大阪vs大阪桐蔭 2008.10.26撮影 (EOS 1D MarkIII + EF300mm F2.8L IS USM)
by photomoments
| 2009-06-22 00:03
| 野球写真撮影
|
Comments(4)
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eos-30d at 2009-06-22 19:36
最後の戦いが南から始まりましたね!
今年の夏はどんなドラマを見せてくれるのでしょう! 楽しみです。
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photomoments at 2009-06-22 22:03
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MA
at 2009-06-23 13:30
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ずぶの素人の私としては雨の日の撮影は避けたいほうですね。
お手製のスコアブックですので雨に濡れると線がにじんできます。極力スコアブックを濡らさないことを考えると、撮影まで手が回りません。 雨の日は沢山のドラマがありますね。 できるならばお日様の下で戦わせてあげたかったと思う試合が沢山あります。 最後の写真、金光の選手の雄たけびの後ろに呆然とたたずむ桐蔭の選手、足元のボール、ベンチから飛び出してくる金光の選手たち、1枚の写真の中にドラマがありますね。
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photomoments at 2009-06-23 18:48
MAさん、こんにちは。
私も雨の撮影はできれば避けたいと思います。 朝起きて雨だったら、その日の撮影はパスすることもあります。 単に覚悟が弱いだけなのかもしれませんが。 でも撮影に行って雨に降られた場合は、なるべくその条件を楽しもうと思うようになってきました。 金光大阪の試合終了時の写真、意図したわけではないのですが、うまくハマったと思います。 足元のボールにも気付いていただき、ありがとうございます。 欲を言えば、大阪桐蔭の選手の位置がもう少しズレていたら とは思うのですが…。 思えばこの試合で、両校のセンバツ出場の明暗が分かれたんですよね。 その明暗がこの1枚に凝縮されているのかもしれません。 |
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